1988年奈良県生まれ
現在、奈良県で作陶されている作家さんです。
季節や、環境からのインスピレーションを作品に落とし込んでいる作家さん。
「澄んだ空気の中に感じる春の気配」といった、目には見えないものを作品に落とし込んでいます。
あおのシリーズは、永く住んだ柱の雰囲気や、波で削がれた岩肌や地層といった、「時代を吸収した痕跡」そういったものを作品のインスピレーションとしているそう。
北野さんの作品は、ぐっと引き付ける不思議な魅力に溢れています。
あおのシリーズのあお色は、呉須という顔料で色を表現しています。
パッと明るい青ではなく、落ち着きのある深くて、渋い「あお。」
うつわの表面は、形を出してから、傷をつける、色をのせる、そして少し落とす といった工程であおの表情を出しています。
手の赴くまま、表現されるその独特なあお色は、文字のようにも見えたり、柄のように見えたり。はじめて手にしたその時でも、ずっと自分の手元にいたような、そんな感覚を覚える作品です。
〈指跡について〉
釉薬を掛けるときに、指を置いた跡です。これは、敢えて残していらっしゃいます。
ある、というのは、
確かにそこにゆびを置いて釉薬を掛けていたという、人の温度が存在している、という証。
丁寧に工程を踏まれたものへの出会い、そこに残された痕跡、作り手の人柄や背景、すべてを包み込んで、手元に届く。そんな心に沁みわたる作品です。
パッと見は気づかないかもしれませんが、作家さんの思いを綴らせていただきました。